【相続解決事例】土地評価~特別高圧線が宅地にあった場合の相続税評価~
1.始めに
愛知県岡崎市(西三河地域)を中心に、相続税申告等の相続業務のサポートを行っております、宮島税理士事務所です。
相続税の申告において、土地の評価は様々な評価規定が存在するため、税理士によって評価が異なる場合があります。
例えば、広大地の評価(平成30年に改正)は税理士(周辺士業を含む)の判断による適用可否で評価額が大きく異なっていました。
今回のコラムでは、土地評価に関して高圧架空電線が設定されている宅地の評価について、弊事務所が扱った事例をもとに述べていきたいと思います。
2.今回の相続事例
・遺産総額 →1億円
☆宅地(高圧架空電線の地役権が設定されている土地)を含む
・相続人 → 3人
・遺産分割方法 → 3人で均等相続
3.高圧線が設定された宅地の評価のポイント
①相談内容の整理
今回の相続税申告では、依頼者より弊事務所でのヒアリングにおいて被相続人の有する不動産の中に高圧線の設定されている宅地があるかもしれないとの報告を受けました。
該当地の登記簿謄本の乙欄を確認したところ、区分地上権が設定されていました。
また、現地確認においても電線等が確認されました。
② 評価方法
宅地全体を1画地として評価した価格(自用地価格)
路線価 奥行価格補正率 地積 自用地価格
100,000円 × 1.0 × 300㎡ =30,000,000円
区分地上権に準ずる地役権の価格
路線価 奥行価格補正率 地積 区分地上権に準ずる地役権の割合 区分地上権に準ずる地役権の価格
100,000円 × 1.0 × 120㎡ × 30% = 3,600,000円
区分地上権に準ずる地役権の目的となっている宅地の価格
自用地価格 区分地上権に準ずる地役権の価格
30,000,000円 - 3,600,000円 =26,400,000円
※プライバシーの問題がありますので該当地は国税庁の事例を参照させていただいています。
③ 区分地上権に準ずる地役権控除後の相続税額
控除前 控除後
宅地の評価額 3,000万円 → 2,640万円(360万円減額)
相続税 630万円 → 576万円(54万円減額)
※配偶者の税額軽減は考慮外
4.今回の事例の分析
今回の相続税申告では依頼者より弊事務所でのヒアリングにおいて相続人より有する不動産の中に高圧線の設定されている宅地があるかもしれないとの報告を受けたため、速やかに対応できました。
但し、通常は納税者(相続人)が高圧線等の設定などについて把握していない場合が多いです。
やはり、税理士事務所としては登記簿謄本の確認+現地確認が大切になることが改めて実感しました。
5.終わりに
相続税の申告において、土地の評価は様々な評価規定があり、規定を適用し忘れると評価金額が高くなり、結果として相続税額が過大となります。
正確な土地評価を行うためには多くの知識や経験が必要となりますので専門家である税理士に依頼するのが賢明だと思われます。
最後に、土地評価等で税理士にご相談のある方は、弊事務所までお気軽にご連絡ください。