【相続解決事例】相続開始の年に誤って贈与税を申告した場合の対処法
1. 始めに
愛知県岡崎市(西三河地域)を中心に、相続税申告等の相続業務のサポートを行っております、宮島税理士事務所です。
1年間で贈与税の基礎控除額110万円を超える贈与を受けた場合、贈与税の申告が必要となることはご存じの方も多いかと思います。
但し、相続が開始した年において、相続人が被相続人から贈与を受けた場合は、贈与額は非課税となり、相続税が課税されます。
今回は、弊事務所の相談事例をもとに、相続人が相続開始年に誤って贈与税を申告した場合の解決方法について述べたいと思います。
2. 今回の相続事例
・ 相続発生年 → 平成30年9月 |
3. 相続開始年に贈与を受けた場合のポイント
① 今回の相続税申告における被相続人の預金動向調査の際、依頼者(相続人)より、被相続人(母)から相続開始年に受けた贈与に対し贈与税申告及び贈与税の納付を行ったとの報告を受けました。
② 相続開始年の贈与については、贈与税ではなく、相続税の課税価格に加算されるため、本来ならば贈与税の申告は不要であった旨を依頼者へ説明しました。(※注1)
③ 依頼者(相続人)が誤って納付してしまった贈与税額(35万円)については、過誤納付額として、税務署へ更正の請求を行いました。(※注2)
※ 注1
(贈与税の課税価格)
相続又は遺贈により財産を取得した者が相続開始の年において当該相続に係る被相続人から受けた贈与により取得した財産の価額で第19条の規定により相続税の課税価格に加算されるものは、前3項の規定にかかわらず、贈与税の課税価格に算入しない。(相続税法第21条2第4項)
※ 注2
(更正の請求の特則)
相続税又は贈与税について申告書を提出した者又は決定を受けた者は、次の各号のいずれかに該当する事由により当該申告又は決定に係る課税価格及び相続税額又は贈与税額が過大となったときは、当該各号に規定する事由が生じたことを知った日の翌日から4月以内に限り、納税地の所轄事務所長に対し、その課税価格及び相続税額または贈与税額につき更正の請求をすることができる。(相続税法32条1)
*第10項
贈与税の課税価格計算の基礎に算入した財産のうちに第21条の2第4項の規定に該当するものがあったこと。
4. まとめ
今回の事例では、贈与の受贈者である相続人が相続開始年の贈与税の申告が不要であることを知らず、誤って贈与税申告及び贈与税の納付を行ってしまいました。
このような場合には、税務署へ正式な手続きを行い、過誤納付金を還付して頂くことになります。
最後に、生前贈与(相続税申告)についてご相談のある方は、弊事務所までお気軽にご連絡ください。