【お客様からの質問】住宅取得等資金の贈与について
質問
先日、お客様から、今年度(平成27年度)の住宅取得等資金の非課税(住宅に関する贈与)の限度額について教えて欲しいと言われました。
住宅取得等資金の贈与税の非課税制度は、生前の相続対策として大変有効な制度です。以下ご質問に対する返答を兼ねて説明させて頂きます。
回答(解説)
①非課税限度枠
平成27年度の税制改正で、住宅取得等資金の贈与の特例が拡大延長されました。
これは、父母や祖父母などの直系尊属から、住宅などを取得するために資金贈与を受けた場合、一定金額について贈与税が非課税になるという制度です。
平成27年中に住宅取得等資金の贈与を受けた場合、一定の「省エネルギー性」または「耐震性」を備えた良質な住宅用家屋であれば、非課税限度額は1,500万円になります。
また、それ以外の住宅用家屋の場合、非課税限度額は1,000万円になります。
②制度の魅力
この制度の魅力は、住宅資金等贈与は相続財産に加算されない点です。
通常、相続が発生した場合、被相続人(贈与者)の相続人(受贈者)に対する贈与財産は死亡前3年以内は相続財産に加算されます。
従って、住宅資金等贈与は相続税対策としてとても有効です。
③他の制度との併用
非課税制度(平成27年度)は、暦年贈与の場合、基礎控除額である110万円がプラスされると、最高1,610万円(1,110万円)が非課税となります。
相続時精算課税制度の場合、基礎控除額である2,500万円がプラスされると、最高4,000万円(3,500万円)が非課税となります。
また、住宅ローン控除制度と併用して利用することも可能です。
尚、相続時精算課税制度の選択は注意すべき点があることには留意して下さい。
④一定の要件
贈与を受ける対象者は、贈与を受ける年の1月1日において20歳以上の子や孫などに限られ、子や孫などの配偶者は含まれません。
また、自分のための居住用家屋及びその敷地の購入費用、もしくは所有家屋の増改築の費用であること。
その他にも床面積(240㎡)、受贈者の平成27年度の合計所得金額が2,000万円以下など、特例の適用を受けるには一定の要件を満たす必要があります。
⑤注意点
この制度を、利用した場合、翌年3月15日迄に必ず確定申告書を提出する必要があります。
例えば、平成27年中にこの制度を利用した場合、平成28年3月15日(火曜日)までに贈与税の申告書を提出する必要が生じます。
申告書の提出を忘れると、通常の暦年贈与とみなされます。
例えば、1,000万円贈与した場合、住宅資金贈与の申告を忘れると、207万円の贈与税がかかります。
尚、弊事務所では、申告書等の提出を含め総合的な提案をお客様にしております。
興味のある方は一度、弊事務所にご連絡下さい。