お客様から住宅土地税制について質問を頂きました~平成28年税制改正を踏まえ~
始めに
資産家(相続税の対象になる方)の方々は、日頃から住宅土地税制には大変興味をお持ちです。
そんな中、最近、お客様から頂いた住宅土地税制に関する質問ついて平成28年税制改正を踏まえて質問、回答形式で述べたいと思います。
質問&回答
1 住宅取得等資金の非課税に関する質問
今年度(平成28年度)の住宅取得等資金の非課税(住宅に関する贈与)の限度額について教えて欲しい
回答(解説)
非課税限度枠
この制度は、父母や祖父母などの直系尊属から、住宅などを取得するために資金贈与を受けた場合、一定金額について贈与税が非課税になるという制度です。
平成28年中に住宅取得等資金の贈与を受けた場合、一定の「省エネルギー性」または「耐震性」を備えた良質な住宅用家屋であれば、非課税限度額は1,200万円になります。
また、それ以外の住宅用家屋の場合、非課税限度額は700万円になります。
尚、消費税が平成29年4月1日より予定通り10%に引き上げられた場合には注意が必要です。
この場合、住宅等の購入の消費税が10%となった場合には(契約が平成28年10月1日以降で、引渡しが平成29年4月1日以降の場合を含む)、省エネ等住宅は3,000万円に、一般住宅は2,500万円になります。
2 相続で空き家となった土地建物の売却時の「居住用財産の3,000万円特別控除」の適用の特例の質問
平成28年度に新設された、相続で取得した空家となった土地建物の売却時の税負担の軽減について教え欲しい。
回答(解説)
私が、最近処理した相続案件においても、この制度を利用出来る可能性があるお客様がお見えになりました。
今後、この制度は、相続で取得した空家等の売却を考える際に大変有効な税制になると思われます。
制度内容は、相続開始直前に被相続人の居住の用に供されていた家屋及び土地等を相続により取得した個人が、一定の期間内に譲渡した場合、その譲渡所得の金額について、居住用財産の譲渡所得の3,000万円特別控除を適用できるという制度です。
平成28年4月1日から平成31年12月31日までの間の譲渡に適用されます。(詳細は弊事務所の平成28年3月1日相続コラムを参照)。
前回のコラムからの追加情報として
ⅰ 対象となる相続は平成25年1月2日以後に発生した相続が対象となる。
ⅱ 相続時から譲渡時まで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていないことなどを、地方公共団体の長等が確認したとする「被相続人居住用家屋等確認書」を所得税の確定申告の際に添付する必要がある。
3 三世代同居リフォーム工事に係る借入金等の税額控除制度
リフォーム工事を行う際に、何か良い税制度はありませんか。
回答(解説)
家は時代とともに老朽化が進みます。そんな中、リフォーム工事を考えている方もお見えになると思います。
従前より、大規模リフォーム、耐震型、バリアフリー型、省エネ型等のリフォーム工事に関する減税制度はありました。
今回、新たに、平成28年度税制改正では、三世代同居に対応した住宅リフォーム工事に関する借入金等の税額控除制度が創設されました。
具体的には、28年4月1日から31年6月30日までの間に自己の有する家屋に三世代同居改修工事を含む増改築などを行い居住の用に供した場合に住宅ローン控除または税額控除の特例のいずれかを選択適用できる制度です。
ローン控除の特例の場合、(償還期間5年以上)の年末残高1000万円以下の部分について、一定の金額が、5年間の各年において所得税額から控除されます。控除率が2%になる点において、従前の制度(1%)より有利になっています。
一方、税額控除の特例の場合、多世代同居改修工事の標準的な費用の額の10%相当額(最大25万円が限度)が、その年分の所得税額から控除されます。
対象資産としては、キッチン、浴室、トイレ、玄関等(注1)になりますので、三世代住宅等のお住まいの方は検討する価値はあると思われます。
(注1)対象工事は、50万円超であることキッチン、浴室、トイレ、玄関の増設工事(改修後に、これらのいずれか二つ以上が複数となる場合に限る)。
以上、平成28年税制改正を踏まえた住宅土地税制について述べましたが、住宅土地税制については専門的な判断が必要になる場合があります。その際には、一度弊事務所にご相談下さい。