広大地とは
(1)広大地とは
広大地とは、
「その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地で、都市計画法第4条第12項に規定する開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地の負担が必要と認められるものをいいます。
ただし、大規模工場用地に該当するもの及び中高層の集合住宅等の敷地用地に適しているものは除きます」
と定義されます。
定義に関する参照図
(2)広大地への判断対応
面積 市街化区域 三大都市圏500㎡以上を前提に説明をします(尚、岡崎市の市街化区域では500㎡以上の土地が対象の候補地になります)。
①土地の現況等の調査
ⅰ周辺の開発状況は如何か⇒市役所(岡崎市役所)の開発登録簿等で調査
地域の標準的な宅地として近年の開発はマンションが多いか、それとも戸建住宅の開発事例が多いか。
マンション適地ならば、広大地の可能性はありません。
また、戸建住宅建築の場合も、道路の開設が本当に必要かどうか検討する必要があります。
尚、お客様が不動産業者として土地を開発する場合、どのように開発するのが有効か一度イメージして見て下さい。
例1
戸建住宅の建築を行う場合も、下記図のような土地の場合、羊羹切りでの分譲が可能であり(道路の開発は不必要)、広大地には該当しません。
例2
下記図のような開発を行う場合(路地上開発)、道路の開発は不必要のため、広大地には該当しません。
ⅱ土地の評価単位(土地の利用状況)も当然調べます。
広大地の評価単位は、土地の評価単位に一致します。
土地の利用状況によっては、広大地に該当しない場合も出てきます。
例、下記図土地は、合計で900㎡ですが評価単位は2単位(各450㎡)なので、広大地には該当しません。
②広大地の適用の可能性が高い場合、開発想定図を第三者機関等へ依頼します。
第三者機関等の意見を聞くことで、よりお客様に安心して広大地の適用を薦めることが出来ます。
開発想定図は、税務署に対し広大地を承認してもう為の有力な立証資料になります。
開発想定図
③お客様に、広大地を適用する際の最終的な打合せをします。
ⅰ当初申告で広大地を適用する
⇒広大地に該当しない場合は、税務署サイドで、広大地に該当しないことを立証する必要があります。
広大地を適用する上では、絶対的に有利です。
但し、税務署において広大地を否認され、修正に応じた場合には、増額更生の税金以外に延滞税等の加算税の負担が生じます。
ⅱ更正の請求をする場合
⇒広大地の申告は、更正の請求で行うことも可能です。
但し、更正の請求は、税務署サイドが認めない場合は、その時点で終了です。
つまり、当初の申告ならば、認められる場合(事案が際どいため、税務署サイドも否認できない)も、更正の請求では認めない場合も考えられます。
但し、当初申告と違い、延滞税等の加算税の心配はありません。
ⅲ当事務所は、お客様と協議の上、最終的に広大地の適用の方法を決定します
(3)広大地に関するQ&A
Q1 広大地は宅地以外にも適用可能ですか。
A1 広大地は宅地以外にも市街地農地、市街地山林、市街地雑種地に適用できます。
尚、市街地農地に関しては生産緑地にも広大地は適用可能です。
当事務所は生産緑地に広大地を適用した実績があります。
Q2 市街化調整区域に広大地は適用できますか.
A2 市街化調整区域は例外を除き基本的に広大地は適用できません。
理由は基本的に家の建築が禁止されているからです。
Q3 広大地は、更地以外にも適用は可能ですか。
A3 広大地は、更地以外にも適用は可能です。
現状家屋(賃借マンション等でも)が建っている場合も適用できる場合があります。
仮に、相続時点において、該当宅地に道路を入れて戸建住宅を建築するのが有効ならば広大地の適用可能性が
あります。
但し、当然、近隣の状況や、当該土地の容積率等は考慮する必要があります。
Q4 遺産の分割状況によっても広大地の適用は変わりますか。
A4 遺産の分割状況によっても広大地の適用は変わります。
例えば、900㎡の土地を共有所有した場合は、広大地に該当する可能性があります。
分割で450㎡づつ所有すると、広大地には該当しなくなります。
但し共有は様々な問題が生じますので、複合的な観点から検討する必要があります。
Q5 一方路線の奥行が深い土地は広大地に該当しますか。
A5 一方路線の奥行が深い土地は当然、道路を入れて開発する必要が出てきます。
家を建築するためには基本的に道路に2メートル以上接する必要があり、奥行が深い土地は道路を開設しないと接道義務を満たさなくなるからです。
一般に奥行の目安は25~30メートル以上とも言われていますが、やはり近隣の状況等を調査確認する必要があります。
奥行があっても、場合によっては、路地上開発も考えられるからです。
なお、マンション適地の場合には、そもそも広大地には該当しません。
Q6 広大地と小規模宅地等の特例の併用は可能ですか。
A6 広大地と小規模宅地等の特例の併用は可能です。
当方事務所も両規定を併用して申告した実績はあります。
但し、小規模宅地等の特例適用は、広大地規定適用後の価格となる点は注意が必要です。
Q7 ファミリーレストラン等で利用されている宅地に広大地は適用できますか。
A7 税務署の情報として広大地の該当しない場合の条件として「現に宅地として有効に利用されている建築物の敷地等 例えばファミリーレストラン等」には広大地は適用できないと例示されています。
従って基本的には広大地は適用できないと考えられます。
但し、ファミリーレストラン等の敷地に利用されているから、絶対に広大地が適用出来ないわけでないです。
あくまで有効に利用されている敷地等がポイントになります。
近隣の状況や、当該土地の容積率等を考慮し、明らかに戸建住宅として宅地利用したほうが有効な場合には広大地の適用の可能性はあります。
Q8 マンション適地(高層の集合住宅等の敷地用地)とは?
A8 国税局のHPには「「中高層」には、原則として「地上階数3以上」のものが該当します。
また、「集合住宅等」には、分譲マンションのほか、賃貸マンション等も含まれます。」と回答が出ております。
では、地上階数3以上賃貸マンションの敷地用地は広大地を適用出来ないかと言えば、そういうわけではありません。あくまで、利用状況、周囲の状況等を総合勘案し適用できる場面もあります。
但し、容積率が300%以上の地域や、駅から近い土地に3階以上賃貸マンションが建っている場合は、広大地の適用は難しいと思われます。
以上のQ&Aは市街化区域 三大都市圏 500㎡の面積基準の要件で判断しています。