【相続解決事例】マンション用地に「地積規模の大きな宅地の評価の特例」を適用した場合の評価について
1. 始めに
愛知県岡崎市(西三河地域)を中心に、相続税申告等の相続業務のサポートを行っております、宮島税理士事務所です。
平成30年度より広い土地の評価基準として、従前の「旧広大地の評価」に代わり「地積規模の大きな宅地の評価」が新設されました。
この特例は、要件を満たせばマンション用地にも適用することができます。(一室の所有でも適用可。)
特に、岡崎市等の容積率が200%の多い地域に所在するマンション用地には、適用できるケースが多いため、相続税申告時には忘れずに適用したい規定となっています。
今回は、弊事務所で被相続人が所有するマンション用地に対してこの制度を利用した事例について紹介したいと思います。
2. 地積規模の大きな宅地の評価とは
地積規模の大きな宅地の特例を適用するには、以下の要件を満たしていることが必要となります。
① 地積が500㎡以上(三大都市圏以外は1,000㎡以上)であること
② 以下の(1)から(3)の地域でないこと
(1)市街化調整区域に所在
(都市計画法に規定する開発行為を行うことができる区域を除く
(2)都市計画法に規定する工業専用地域に所在
(3)容積率が400%(東京都23区は300%)以上の地域の所在
③ 普通商業地区・併用住宅地区及び普通住宅地域として定められていること
3. 今回の相続事例
・ 相続発生年時: 令和元年7月
・ 法定相続人: 2名
・ 相続財産総額: 約1億円
・ 評価対象地: マンション
全体の面積 約710㎡ (所有する一室の面積 約50㎡)
所在地 愛知県岡崎市 (三大都市圏内)
路線価地区 普通住宅地区
用途地域 第一種中高層住居専用地域
容積率 200%
・「地積規模の大きな宅地の評価の特例」適用による評価減
適用前 適用後 差額
①土地の評価額 524万円 408万円 ▲116万円
(約20%の評価減)
②相続税課税価格合計金額 10,000万円 9,884万円 ▲116万円
③相続税額 770万円 740万円 ▲30万円
4. 今回の事例のポイント
① 面積要件の判定
岡崎市は三大都市圏となり、通常は500㎡以上の土地に適用できますが、一部要件が1,000㎡以上の地域があるため、岡崎市役所に該当地の適用面積を確認する必要があります。
② 用途地域・容積率の確認
用途地域と容積率は、多くの自治体でネット公開されています。
岡崎市の場合、「岡崎市わが街ガイド」というサイトで確認することができます。
また、市町村の都市計画課等の窓口でも確認できます。
③ 不整形地補正率等との併用可能
地積規模の大きな宅地の評価では、規模格差補正率(※)以外に不整形地補正率等も適用できるようになりました。
地積規模の大きな宅地の評価はそれらの規定を適用した場合、評価減額前の土地評価額の7割ぐらいに落ち着く可能性があります。
(※)規模格差補正率の減額割合
面積 | 規模格差補正率 |
500㎡ | 0.8 |
1,000㎡ | 0.78 |
2,000㎡ | 0.75 |
3,000㎡ | 0.74 |
4,000㎡ | 0.72 |
5,000㎡ | 0.71 |
5. まとめ
従前の「旧広大地の評価」はマンション用地には適用できない場合がありましたが、「地積規模の大きな宅地の評価」では要件を満たせば適用可能となりました。更に、マンションの場合、適用基準は共有地全体の面積となるため、非常に特例を受けやすくなっています。
適用できた場合は2割以上の評価減が可能となりますので、マンションをお持ちの方には、ぜひ活用して頂きたい特例の一つといえます。
最後に、マンション含む土地の評価方法等、相続税申告についてご相談のある方は、弊事務所までお気軽にご連絡ください。