【お客様からのご質問】退職金について

2015年11月14日

 先日、会社を経営するお客様から、退職金の税制上のメリットを教えて頂きたいと言われました。
退職金は、お客様の相続等(相続対策、相続税)においてさまざまな影響を受けるものと思われます。
皆様の参考になるように以下ご質問に対する返答を兼ねて説明させて頂きます。

 

回答(解説)

1 退職金(慰労金含む)は税制上以下のメリットがあります。

① 退職所得控除

勤続年数に応じて退職所得控除(退職所得から控除できる金額)があります。

20年以下 年40万円 20年超~年70万円

例えば、社長が会社設立後、30年後に退職する場合

    20年×40万円+10年×70万円=1,500万円の退職所得控除があります。
従って、退職金が仮に1,500万円までならば、税金は掛かりません。

② 2分の1課税

 さらに、退職控除後の課税所得を1/2で計算する規定があります。

上記の例で2,000万円退職金を頂いた場合、退職金2,000万円-退職所得控除1,500万円=500万円

500万円の1/2の250万円が退職所得になります。

 尚、退職金制度の節税策封じのため、勤務年数が5年以下である役員等が受け取る退職金には2分の1課税の規定は適用できません。

③ 分離課税

退職所得は、他の所得と分離して課税されます。
所得税制は累進税制になっており、所得が高いほど税率が高くなります。
仮に、退職所得が総合課税ならば退職時の給与所得と合算され、退職所得のみで課税され場合に比較し税率は高くなります。

 例 退職所得(2分の1後)500万円  給与所得700万円 所得控除は考慮外

  (1)現状(分離課税) 退職所得に対する所得税⇒575,000円

               給与所得に対する所得税⇒974,000円 合計1,549,000円

 (2)仮定(総合課税)    退職所得+給与所得1,200万円に対する所得税 2,424,000円

             現行の税制では上記の場合 875,000円優遇されています。

2 社会保険制度

退職金には、給与と違い、社会保険料が掛かりません。

従って、退職所得から税金(有利な計算方法)を引いた分がまるごと頂けます。

3 役員退職金について

 会社を設立された方は、通常役員になり、将来役員退職金を頂くことになります。
ところで、役員退職金に関しては支給額が過大ではないかと、税務当局としばしば争いになります。
対策としては、まず役員退職金・弔慰金の支給規定等の作成をお勧めします。

尚、退職金の支給基準としては、功労倍率方式があります(最終報酬月額×役員在任年数×功労倍率)。
これは役員退職金を決定する際、税務当局とのトラブルを避けるために、一般的に用いられる計算式です。

4 個人事業者について

 個人事業者の場合、会社(法人)と異なり、退職金制度はありません。
しかし、個人事業者には、退職金制度の代用として、小規模企業共済という制度があります。
小規模企業共済の詳細は、HP設立コラム掲載記事をお読みください。

5 死亡退職金の場合

 会社から、死亡を事由に退職金を頂いた場合には、所得税ではなく相続税の課税対象になります。
但し、死亡退職金には相続税の非課税規定(500万円×被相続人の数)があります。
さらに弔慰金を頂いた場合にも、相続税上は非課税規定(業務上 死亡当時の普通給与の3年分に相当する額 非業務上、死亡当時の普通給与の半年分に相当する額)があります。

 退職金の制度の詳細を知りたい方は、一度弊事務所にお尋ね下さい。

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