【相続コラム】相続税の連帯納付義務|時効・放棄・利子税まで徹底解説

2015年07月29日

相続税は相続人がそれぞれの財産に応じて納税するのが原則です。しかし、もし相続人の一部が納税を怠った場合、他の相続人にまで納税義務が及ぶことがあります。これが「連帯納付義務」です。

「時効はあるのか?」「相続放棄で免除されるのか?」など、不安に思う方も多いでしょう。本記事では、連帯納付義務の仕組み・計算方法・時効・回避策をわかりやすく解説します。


1.連帯納付義務とは?

相続税法第34条に定められたルールで、相続人が納税を怠った場合、他の相続人も連帯して納税する義務を負います。

  • 相続財産を取得したすべての相続人に適用

  • 納税額は「相続で得た利益の範囲」が上限

  • 手続き不要で自動的に発生する

1-1.時効はある?

原則、申告期限(相続開始から10カ月以内)から5年間が時効です。ただし、税務署から通知や督促があれば時効は中断するため、実務的に「逃げ切る」のは困難です。


2.連帯保証との違い

よく混同されますが「連帯保証」とは別物です。

  • 連帯保証:契約で同意が必要、上限なし

  • 連帯納付義務:自動で発生、相続財産を限度


3.誰が対象になるのか?

  • 相続や遺贈で財産を取得した人

  • 相続時精算課税制度を利用した人

  • 生前贈与を受けた人

ただし、相続放棄(家庭裁判所で3カ月以内に手続き)をした場合は対象外になります。


4.支払う金額の上限(限度額の計算式)

連帯納付義務で支払う上限は次の式で計算します。

限度額 = 相続した遺産額 − 納付済の相続税額

:遺産2,000万円を相続し、300万円を納付していた場合 → 限度額は1,700万円


5.利子税と延滞税の違い

  • 延滞税(本来の納税義務者):年7.3〜14.6%(高い)

  • 利子税(連帯納付義務者):年1.0〜1.6%程度(軽減あり)

肩代わりの場合、連帯納付義務者には利子税が課されます。


6.税務署からの通知の流れ

連帯納付義務が発動する流れは次の通りです。

  1. 未納のお知らせ(まだ納税義務なし)

  2. 納付通知書(納税額と期限が明記され義務発生)

  3. 督促状(2カ月経過で強制徴収や差押えの可能性)


7.連帯納付義務を回避・軽減する方法

  • 家庭裁判所で相続放棄をする(3カ月以内)

  • 遺産分割を円滑に進める(遺言書・家族信託の活用)

  • 不動産を相続する人には現金資産も配分して納税資金を確保

  • 延納・物納の制度を事前に確認


8.よくある質問(FAQ)

Q1.相続放棄をすれば連帯納付義務は免除されますか?

→ はい。家庭裁判所での相続放棄手続きを行えば免除されます。ただし、期限(3カ月)を過ぎると無効です。

Q2.連帯納付義務の時効は5年で確定しますか?

→ 原則5年ですが、税務署の通知や督促で時効は中断します。実務上は待つのは危険です。

Q3.肩代わりした場合、贈与税はかかりますか?

→ 求償権を放棄すると「贈与」とみなされ課税される可能性があります。資力喪失などの例外はあります。

Q4.延納や物納は連帯納付義務者にも使えますか?

→ 原則使えません。連帯納付は一括納付が基本です。


9.まとめ

相続税の連帯納付義務は、自分が納めていても他の相続人の未納分を肩代わりしなければならない厳しい制度です。

  • 相続放棄や遺言書作成での対策

  • 納税資金の事前確保

  • 延納・物納の知識

これらを知っておくことで、予期せぬトラブルを回避できます。相続に不安がある方は、早めに専門の税理士へご相談ください。

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